2012年12月26日

 ソフトバンクが米スプリント巨額買収(2012)

今年の10大ニュースを見てみよう。ロイターの投票型アンケートでの第1位は「ソフトバンクが米スプリント巨額買収」だ。孫正義氏が動いた。米国携帯電話市場第三位のシェアを持つ「スプリント・ネクステル社」を一兆を超える額で買収同意したというのだ。遂に世界進出というわけだ。規模的にもNTTドコモを抜くことになる。懸念されているのはソフトバンクの財務状況で、同社株価は2割も下げた。しかし孫氏はいたって強気で返済はもちろん世界進出への足がかりとなると鼻息が荒い。というわけで記事を見てみよう。

Bloomberg記事「2012年10月16日(ブルームバーグ):国内携帯電話3位ソフトバンク が米同業3位スプリント・ネクステル の株式の約70%を201億ドル(1兆5709億円)で取得すると、両社が15日発表した。国内首位のNTTドコモ を超える巨大通信企業が誕生するが、市場では巨額の借入金を懸念する見方も出ている。

ソフトバンクは、約121億ドルをスプリントの株主に1株当たり7.3ドルで支払う。そのほか80億ドルは同社の財務体質強化に投じる。2013年半ばに取引完了を見込む。スプリントの時価総額は、米国時間の12日終値で、約172億ドル(約1兆3400億円)。

株式取得に必要な資金は、ソフトバンクの手元資金のほか、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行のメガバンク3行とドイツ銀行が調整した新規のブリッジローンによって調達する。

これに対して、米ムーディーズは同日、ソフトバンクの発行体格付「Baa3」を格下げ方向で見直すと発表した。総額約201億ドルの調達とスプリント社の有利子負債約213億ドル(12年6月末)の負担が、ソフトバンクの財務に大きな影響を与えるだろうというのが主な理由だ。米スタンダード&プアーズ(S&P)も12日、ソフトバンクの長期格付け を引き下げ方向の「クレジット・ウォッチ」に指定した。

株式市場ではソフトバンク株に財務悪化を懸念する売りが続き、15日株価終値は、前営業日比127円(5.3%)安の2268円。買収報道前の水準から2営業日で21%下落した。

今回の買収によって、スプリントは債務返済の資金を得るとともに、競合するベライゾン・コミュニケーション やAT&T に対抗するための新たな買収も可能になり、ソフトバンクにとっては米国への事業進出の足掛かりとなる。

「むちゃな借り入れはしない」

ソフトバンクの孫正義社長は会見で、「売上ランキングで世界3位になる、ドコモを抜いた」と述べるとともに、買収を成功させ、借金を返済できる自信があると語った。上位2社の寡占となっている米通信市場について「ソフトバンクが、日本の時と同じように、もう一度挑戦できる」、「またとないチャンス」と強調した。

同社長はまた、ボーダーフォン日本法人の買収時には、資金調達に苦労したが、今回は「実質10日間」で話がまとまり、ブリッジローンの金利も1%台だという。「格付けが下がるのを覚悟している」としたものの、「むちゃな借り入れをしないようにした」とも述べた。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「スプリントの買収額は少し高い。財務体質もそれほどよくない」とし、「これだけの買収だけにもう少し説明がほしい。もしなければ、短期的に低迷した株価を引き上げるには不足している」と述べ、将来の成長性を含めた戦略を見ることが必要と語った。

クレディ・スイス証券の早川仁アナリストは、「孫社長の説明は、全体像がはっきりし買収が合理的だと納得できるポジティブな内容だった」とコメント。両社が生み出す収入から考えれば、負債も過大とは言えないという認識を示した。

契約件数は9600万件

同社はこれまでも、成長の原動力のひとつとして買収を繰り返してきた。06年に英ボーダフォン 日本法人(現ソフトバンクモバイル)を総額約1兆8000億円で買収し、携帯事業に参入した。買収当時1500万件強だった契約件数は、米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)5」の代行販売などもあり、12年8月末には3014万件までほぼ倍増し、急成長を遂げた。最近では、1日に国内携帯4位のイー・アクセス (Eアクセス)の完全子会社化を発表したばかり。

発表資料によれば買収によりソフトバンクの携帯契約件数は、9600万件に達する。電気通信事業者協会の8月の統計によると、国内でライバルのNTTドコモの契約数は6063万件。また米携帯電話契約者数は、ブルームバーグデータ によれば、1位はベライゾン・コミュニケーション で約1億900万件、2位はAT&T で約1億300万件。3位がスプリントとなっている。」

日経ビジネスでも特集を組んでいるので読んでみてほしい。 → 日経ビジネス時事深層
posted by すぐ落ちます at 08:57| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月30日

シャープ再建策

ついこないだのような気がするシャープの好況。気がつけば市場を海外企業に奪われて危機的な状況とまでいわれることになっていた。世界経済のスピードは思うよりも速い。変化に対応するには機敏な戦略が求められる。判断を誤れば一気に追い詰められる。株価もかつて800円だったものが200円まで下落。そんな状況の中シャープは一命を取り留めたものの今後も難しい舵取りを求められている。読売新聞を見てみよう。

読売社説「シャープ再建策 「液晶の雄」挫折は重い教訓だ(9月30日付・読売社説)

 最先端技術やブランド力があっても、事業の選択と集中を誤ると行き詰まる。「液晶の雄」の挫折は、日本の産業界に警鐘を鳴らしている。経営危機に陥ったシャープが、1万人超の人員削減や海外のテレビ工場売却などを柱にした再建策をまとめた。これを評価した主力取引銀行が総額3600億円の巨額融資を決めた。懸念されたシャープの資金繰りにひとまずメドがつき、危機克服に前進したと言える。

 シャープは、三重県の亀山工場で製造する液晶テレビが「亀山モデル」と呼ばれて人気を集め、数年前まで業績は絶好調だった。ところが、超円高やウォン安が続く中、競争力をつけた韓国企業などに主力の液晶パネルやテレビで市場を奪われ、パネルなどの価格急落も打撃となった。約3年前、大型液晶パネルを製造する最新鋭の大阪・堺工場を巨費で建設したが、販売が伸びずに業績悪化に拍車をかけた。

 2012年3月期連結決算で過去最大の赤字を計上し、今期も大幅赤字が見込まれる。亀山での成功が過信につながり、戦略を誤ったのだろう。創業100年を迎えた老舗企業ですら、抜本的な事業再構築を迫られる厳しい現実だ。まず、成長が期待できるスマートフォン(高機能携帯電話)向けの中小型液晶や、白物家電、複写機といった得意分野の強化を急がねばならない。新興国市場の攻略も収益確保のカギを握る。先行きは楽観できない。経営刷新のスピードが問われる。

 焦点は、台湾の受託製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業との提携交渉の行方だ。鴻海は3月、シャープに10%弱出資することでいったん合意したが、シャープ株価の急落に伴う再交渉が難航している。シャープにとっては、鴻海との提携で財務基盤をさらに強化し、中小型液晶などの世界販売を増やす方策が不可欠だ。早期合意を目指してもらいたい。ただ、最先端技術の流出には要警戒である。

 電機業界など日本の製造業は、超円高と激しい国際競争に直面している。シャープを教訓とし、市場の変化を先取りした戦略商品の開発や、成長市場の開拓で競争力を強化せねばならない。産業を支える政府の役割も重要だ。超円高を阻止し、原子力発電所の再稼働で電力の安定供給を図るとともに、環太平洋経済連携協定(TPP)への早期参加など積極的な通商政策が求められる。」
posted by すぐ落ちます at 12:53| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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